【現代文の解き方】元編集者がズバリ教えます
この記事で学べること
- 点数アップにつながる
現代文の正しい読み方 - 得意科目にするための
文章読解力の鍛え方
「何となく」という意識からの脱却
「国語って、どうやって勉強しているの?」
受験生にこう質問して、「私は、こういうやり方で勉強しています」と、すぐに答えられる生徒が、一体どれだけいるでしょうか。
なかでも「現代文」の勉強となると、暗記する事柄もなければ、数学のように覚える公式もありません。
「何となく、勘とかセンスに頼っていて……」
そう答える生徒が多いのではないかと思います。
私が「現代文の正しい解き方」をきちんと伝えたいと思った理由は、こうした点にあります。
入試科目の五教科の中で、なぜか、国語(現代文)だけは「何となく」勉強し、「何となく」問題を解いている……。
この「何となく」というのが、かなりのクセモノです。
「何となく」問題集を説いて、「何となく」答え合わせをして、「何となく」間違ったところをチェックして……。
というように、「これだ!」という確固たる勉強法を未だ見いだせていない生徒が、結構いると思うのです。
そうしたことでは、せっかく勉強に時間を費やしても、全てが「何となく」無駄に終わってしまいます。
それでは、あまりにも、もったいない!
今日から、この「何となく」という意識から脱却しましょう。
そして「これが正しい現代文の勉強法だ」という、これから伝える〝定石〟(最も良いとされる方法)を身に付けてほしいと思うのです。
現代文を読み解く際の定石
では、早速「その定石とは何か」について、私の経験を元に、分かりやすく解説していきたいと思います。
某出版社のデスクだった私は、かつて朝から晩まで、来る日も来る日も毎日、シャワーのように文章を浴び続け(笑)、ひたすら原稿をまとめ、新聞を製作するという生活を何年も送っていました。
デスクって何? 机?
デスクっていうのは、職務上の立場のことだよ。記者を取材に行かせたり、記事をまとめたりする責任者のことらしいよ。
デスクという立場の者は、記者たちが書いた記事を一つひとつチェックし、その全てに見出しを付け、新聞を作っていくのが仕事です。
受験生の皆さんは、このデスクの作業行程の一つである「見出しを付ける」という部分に注目してほしいと思うのです。
新聞の記事には、どれにも見出しがあるわね。
でも、その見出しと現代文の勉強法と、どう関係があるの?
これから先生が話してくれるわよ。話の続きを聞いてみようよ。
ズバリ、言います。
文章に見出しを付けるという行程は、現代文の勉強に欠かせない〝最も大切な要素〟になります。
つまりは、こういうことです。
見出しとは、その文章の中で最も伝えたい内容(主張)を、ギュッと詰め込んだ言葉のことを言います。
だから、通常、見出しさえ見れば、その記事にどんなことが書いてあるのかが、だいたい検討が付くわけです。
さあ、ここからが核心部分です。
受験生の皆さん、現代文の問題に取りかかる際は、この見出しを付ける気持ちで、ぜひ読んでみてください。
筆者が最も伝えたい内容(主張)とは何かを、ひたすら考えながら文章を読み、編集者が見出しを付けるように、主張となる部分を短い言葉で端的に表現する、という訓練を積み重ねていってほしいのです。
その際、筆者の主張は25字程度にまとめましょう。
(新聞の見出しのルールは原則11字以下ですが、入試現代文の見出しとなると、それでは、ちょっと足りません。25字程度が妥当と思われます)
こうした訓練を続けていくと、自分でも驚くほど、筆者の主張が容易に理解できるようになっていきます。
例題にチャレンジ
ここで、例題を出します。
たとえば、「伝統の受け継ぎ方」について書かれた文章があったとします。
その中で、筆者がこう述べています。
「伝統を受け継ぐことは大切だが、その受け継ぎ方が今問われている。時代にそぐわない掟(おきて)については、その都度、見直していく必要がある。なかには、廃止になる掟があっても何ら構わない」
この部分が、筆者の主張ですね。
この主張となる部分を、以下のように25字程度にまとめてみるのです。
見出し
伝統の受け継ぎ方を見直そう
時代にそぐわない掟は廃止へ
いかがですか?
見出しを付けると、文章の主題が明確になります。
「この文章は、こういうことを伝えたいんだ」と、筆者の主張が整理されると、頭の中がスッキリしますよね!
この「スッキリ!」した状態で、設問に取りかかっていくわけです。
現代文の勉強法
- 現代文の問題集にチャレンジする
↓ - その中で、筆者が最も伝えたいこと(主張)を考えながら文章を読む
↓ - それを、見出しにして端的に表す
↓ - それが的確な言葉であったかを、問題集の解説文などからチェックする
(大抵の問題集には、筆者の主張の要点が記されていますので、そちらを参考にすると良いと思います)
ポイントは筆者の主張を理解すること
では、なぜ筆者の主張を理解することが、それほどまでに大切なのでしょうか。
理由は簡単です。
現代文の設問というのは、筆者の主張を理解しているかを確認するためだけに作られているからです。
えっ? すごいシンプルじゃない?
筆者の主張の理解度チェックってこと?
言葉や表現を変えて、いろいろと設問が出されますが、結局、全ての問いは、筆者の主張が分かっているかどうかの〝確認問題〟なのです。
言い換えれば、筆者の主張を理解せずして、設問に答えられるはずがない、ということです。
「何となく」文章を理解したつもりで、そのまま設問に進んでいくと、「何となく」こうかな~?というレベルでしか回答できません。
だから「現代文は勘とかセンスで解くしかない」などと言われてしまうのです。
しかし、それは全く違うと言えます。
筆者の主張をきちんと理解することが、全ての設問に正解できる「唯一の」確かな道なのです。
ちなみに、現代文の問題は、必ず「次の文章を読んで、以下の問いに答えなさい」という形で出されます。
そう言えば、そうよね。
考えたことなかったけど、それがどうしたの?
でも本当は、「次の文章を」と「読んで」の間に、「筆者が最も伝えたいこと(主張)は何かを考えながら」という一文が、目には見えませんが、挿入されていると思ってください。
つまり、こうなります。
「次の文章を、筆者が最も伝えたいこと(主張)は何かを考えながら読んで、以下の問いに答えなさい」
このように、目的意識があって読むのと、ただ漠然と「何となく」読むのとでは、結果的に点数に開きが出てしまうのは当然のことと言えましょう。
ですが、残念ながら、このことを意識して現代文に取り組めていない子が、まだまだいるのが実情と思われます。
客観的な視点と文章整理能力
では次に、どのように筆者の主張を追っていくか、について簡単に語ってみたいと思います。
まず、筆者の主張を読み解く際に大切なことは、常に「客観的な目線」を持つということです。
おそらく筆者はこういうことを言いたいだろうとか、私ならこう主張するのに、といった主観を一切捨てて考えることです。
大切なのは「筆者が何を言いたいか」を言い当てることであり、「自分がどう思うか」を説明することではありません。
そのうえで、筆者の主張をどう追うかですが、ここで文章を整理する能力が問われます。
その能力とは、筆者の主張と、それを裏付ける根拠(理由)に分けて読み進めていける能力のことです。
文章というのは、実はシンプルで、主張があれば、それを正当化するための理由も付けなければなりません。
それらの「主張-理由」の関係性を、丁寧に追っていくのです。
この追い方については、何通りかのパターンがあります。
そうしたパターンを「学びたい」という生徒には、個別に、もしくは少人数単位で、レクチャーさせてもらいます。
中高生の皆さん、どうぞ気軽に相談してくださいね(小学5・6年生も可)。
いかがでしたか。
現代文の勉強法を、ご理解いただけたでしょうか。
よく「このポイントさえ押さえれば〇点アップ確実」といった宣伝用のキャッチフレーズも見かけますが、学問の道に近道はなし。
どの世界にも言えることですが、楽をして目標を達成できるような道は絶対にありません。
現代文の読解力を鍛えて、得意科目にしたいと願う受験生のあなた。
成績アップの定石は、ただ一つ。
「筆者の主張」を的確につかまえることです。
一流選手が基本練習を欠かさないように、皆さんも、この基本に忠実に、現代文の勉強を重ねていきましょう。
機会があれば、小説問題の解き方についての記事もアップしていこうと思います。
それでは、長文のお付き合い、ありがとうございました。
この記事を書いた人
【大西 政範】(おおにし まさのり)
千葉大学大学院修了後、某出版社にて編集者としての腕を磨く。取材した人数は500人以上。政治家、映画監督、大学教授、経営者など、幅広い職種の方にインタビューし、原稿執筆に取り組んできた。デスクとして年間約1500本の記事を校正していた経験を持つ。
現在、天理教御濱分教会長。同教会が運営する非営利の青少年育成組織「みはまクラブ」の代表を務める。大学院在学中、高等学校教諭専修免許状(公民)を取得。