きつい言葉を言う人は寂しい人? どうしてあげればいい?

原稿用紙に向かって筆を走らせる小学生たち

きつい言葉をぶつける人の気持ち

きつい言葉を言う人、周りにいませんか?
たとえば、仕事でちょっとしたミスをしたとき、重箱の隅をつつくような物言いで責めてくるような人。そんな人とは、少し距離を置いて接したいものですよね。
できれば、もう関わりたくない。そう思うのが普通かもしれません。

そういう人とは、どう接すればいいのか。
今日、読書感想文書き方教室に来てくれた子が、自身の部活の経験からいろいろと考えてくれました。

サッカーのスポーツ少年団に所属している小学6年生の彼は、誰かが試合でミスをしたとき、きつい言葉をぶつける子のことが気になっていたようです。

そんなに責めなくてもいいのに。
「ドンマイ」と声をかけて、あとで励ましたほうが、その子のためにも、チームのためにもなるのに。

そんなことを考えて、いつもピッチに立っていたといいます。

『キャプテンマークと銭湯と』を読んで

そんな彼が、今回読んだ本が佐藤いつ子作『キャプテンマークと銭湯と』(角川書店)。
この本の主人公は、チームに新しく入ってきた同級生に、自分が付けているキャプテンマークを譲ることになり、とてもイライラしていて、仲間にひどい言葉を浴びせるようになってしまいます。

本を読んだ彼に感想を聞くと、主人公の言動と自分のチームの子の言動が似ているところが、一番印象に残ったと教えてくれました。

どちらも、仲間がミスをしたときに、ひどいことを言ってしまっていて、それは良くないというのです。

その原因について、ディスカッションをしながら考えていくと、彼はこう言いました。

「多分、主人公はキャプテンを譲ることになって、そして、仲間のみんなが新しいキャプテンのもとに心がいってしまって、寂しかったんだと思う」と。

そして「だから、心がむしゃくしゃして、ひどい言葉を言ってしまったのではないかな」と、言葉を継いでくれたのです。

では、チームとして、どうすればいいのか。

その答えを、彼は悩みながらも、このように絞り出してくれました。

「仲間のみんなも、ひどいことを言う子の本当の気持ちを分かってあげられたら、一番いいとは思う」
「その子が、うれしくなるような言葉をかけてあげたら、ひどい言葉を言わなくなるかも」

いかがでしょうか。

ややもすると、社会では、ひどい言葉を言う人には「蓋をせよ」という風潮が無きにしもあらずですが、そういう人にも手を差し伸べる心が大事なのだと話してくれたのです。

彼の読書感想文の結びには、こんな言葉が書かれていました。

「ぼくの考える本当の良いチームとは、かなしい思いをする人がいないチームです。そんなチームを目指して、みんなが心を一つにして協力していけるよう頑張っていきたいです」

これは、社会で生きる大人にとっても、深く考えさせられるメッセージのように思います。

この夏の読書感想文書き方教室は、本日最終日。

参加した子供たちは皆、「自分の言いたいことをそのまま書けた!」と、嬉々とした笑顔で帰ってくれました。

飾らない自分の、ありのままの気持ちを表現する。
そのお手伝いをさせていただいて、私自身も勉強となった日々でした。

これからも、子供と一緒になって考え、学びを深めていける「みはまクラブ」でありたいと思います。